
オリンピックで「入賞した」というニュースを耳にすると、メダル以外に何かもらえるのかと疑問に思う方も多いでしょう。実はオリンピックの入賞には世界共通の定義があり、選手にはその栄誉を称える形のある報酬が用意されています。この記事では、入賞の対象範囲や報奨金、副賞など、アスリートが手にする具体的な特典を紐解きます。
オリンピックにおける「入賞」の定義と対象範囲
オリンピックにおいて、公式に称えられるのはメダリストだけではありません。国際オリンピック委員会(IOC)の規定により、1位から8位までが「入賞」と定義されています。
一般的に「入賞」と聞くと、4位から8位の選手をイメージしがちですが、正確には1位から3位のメダリストも「入賞者」に含まれます。つまり、表彰台に登る選手たちはメダリストであると同時に、入賞者としての権利も併せ持っているのです。
かつての大会では入賞が6位までだった時代もありましたが、現在は8位まで拡大されています。この「8位以内」というラインは、アスリートにとって世界のトップ8に名を連ねた証であり、その後のキャリアを支える誇り高い称号となります。
💡 ニュースで「8位入賞」と報じられたら、それは世界で8番目という快挙であることを意味します。
1. IOCから全入賞者に授与される「入賞証書(ディプロマ)」
IOC(国際オリンピック委員会)が主催者として選手に授与するものは、驚くほどシンプルに定義されています。オリンピック憲章に基づき、大会側から公式に贈られるのは「メダル(1-3位)」と「入賞証書(Diplomas、1-8位)」の2種類のみです。
1位から3位の選手には金・銀・銅のメダルと共に入賞証書が贈られ、4位から8位の選手にはこの証書のみが授与されます。ここで重要なのは、IOC自体からは賞金が一切出ないというオリンピックの基本原則です。
授与される入賞証書(ディプロマ)には、選手の氏名、競技種目、順位が明記され、IOC会長の署名が入ります。メダルに準ずる公式な証明書であり、世界トップ8に入った証として、アスリートのキャリアにおける最高峰の評価となります。
競技終了後、公式リザルトが確定するのを待つ
1位から8位までの該当者が確定し、授与対象者として登録される
IOCより発行された公式な証書が、選手本人や所属する国内委員会へ渡される
💡 入賞証書は英語や仏語で「Diplomas」と記され、世界的に通用する「エリートアスリート」の証明書として機能します。
2. 日本オリンピック委員会(JOC)から贈られる報奨金
日本の代表選手が大会で好成績を収めた際、最も公的な金銭的報酬となるのが日本オリンピック委員会(JOC)が規定する報奨金です。この制度は、メダルを獲得した選手の功績を称えるとともに、その後の競技活動を支える一助として運用されています。
JOCが規定するメダリストへの報奨金は、金500万、銀200万、銅100万円の報奨金と定められています。かつては金メダル300万円だった時代もありましたが、選手のモチベーション向上や競技環境の整備を背景に、現在の金額まで増額されました。
一方で、1位から3位のメダリスト以外の「入賞者」に対する規定は非常にシビアです。JOCのルールでは、4位から8位の入賞を果たした選手に対して、原則としてJOCからの金銭支給は行われないことになっています。
つまり、4位以下の入賞者が手にするのは、IOCから贈られる証書などの名誉のみとなります。このように、JOCの直接的な報酬制度においては「メダル獲得」と「4位以下の入賞」の間に、経済的な大きな境界線が引かれているのが現状です。
💡 JOCからの報奨金は所得税法によって「非課税」となるため、選手は受け取った全額を競技資金として活用できます。
3. 各競技団体(種目別)独自のボーナスと賞金制度
JOCからの報奨金とは別に、各競技を統括する国内外の団体が独自に賞金を用意している場合があります。
競技によって金額には大きな開きがあり、その「格差」は選手がどの種目を選ぶかという点でも注目されるポイントです。
国際的な例では、世界陸上連盟(ワールドアスレティックス)が金メダリストに5万ドルの賞金を出すと発表し、大きな話題となりました。
国際競技連盟が直接賞金を出すのは極めて異例のことで、陸上競技の価値を高める新たな試みとして評価されています。
・バドミントン:金1000万円、銀500万円、銅300万円
・卓球:金1000万円、銀500万円、銅300万円
・自転車:金3000万円(トラック競技など)
国内に目を向けると、日本国内の各競技連盟(バドミントン、卓球など)は、金メダルに対して1000万円というJOCを上回る高額な報奨金を設定しています。
一方で、予算の限られたマイナー競技では独自の金銭支給がないケースも珍しくなく、競技団体ごとの財政力が報酬額に直結しているのが現状です。
入賞以上に手が届くかどうかが、選手個人の手取り額を左右する大きな分かれ道となります。
プロ化が進んでいる競技ほど、スポンサー収入と相まって報酬が跳ね上がる傾向にあります。
💡 応援している選手の競技団体の公式サイトをチェックすると、独自の「メダル報酬規定」が公開されていることがあります。

4. スポンサー企業や所属先からの特別報酬と副賞
オリンピックの舞台で8位以内の入賞を果たすと、公的な報奨金以上に話題をさらうのが、選手を支える所属企業やスポンサーからの「特別な贈り物」です。
選手が正社員や嘱託として所属する企業からは、功績を称える特別ボーナスが支給されるのが一般的です。その額は企業の規模や競技の人気度によって数百万から一千万円単位に及ぶこともあり、アスリートにとって大きな支えとなります。
また、飲料・食品メーカーがスポンサーについている場合、副賞の内容は非常にユニークです。「一生分のお米」や「飲料」の数年分といった、生活に直結する現物支給は、アスリートの健闘を称える温かいエールとして注目を集めます。
過去には焼き肉のタレやカップ麺など、メーカーの主力商品がトラック単位で届く例もありました。これらの副賞は、選手自身のSNSなどで紹介されることで、スポンサー企業にとっても大きな宣伝効果を生む良好な関係を築いています。
💡 選手の公式SNSをフォローしておくと、メディアでは報じられないユニークな副賞の裏側を知ることができます。
5. 出身自治体から贈られる「県民栄誉賞」や祝金
オリンピックでの入賞は、選手が生まれ育った地元にとっても大きな誇りです。メダリストはもちろん、入賞を果たした選手に対しても、各自治体から「県民栄誉賞」や「市民栄誉賞」が授与されるケースが多く見られます。これらは長年の功績を公式に称える特別な顕彰です。
顕彰に加えて、その土地ならではの豪華な副賞が贈られることも珍しくありません。地元の和牛やブランド米、高級な果物といった「地域特産品」が贈呈されたり、自治体独自の祝金が支給されたりします。また、街を挙げた「記念パレード」が開催され、多くの住民がその快挙を直接祝う光景も定番です。
自治体がこうした手厚い祝意を示す背景には、入賞をきっかけとした「地域貢献」への強い期待があります。トップアスリートの活躍は地域の知名度向上や、次世代を担う子どもたちの意欲向上に直結します。入賞という実績は、地域社会の活力を生む大きな源泉として大切に扱われるのです。
💡 応援している選手の出身自治体の広報誌などをチェックすると、全国ニュースでは報じられないユニークな副賞の詳細が掲載されていることがあります。
海外の事例:金メダルで「年金」や「兵役免除」がもらえる国も
世界各国のオリンピック報酬に目を向けると、日本のような一時的な報奨金にとどまらない、人生を大きく変えるような破格の待遇が存在します。
特に有名なのが、韓国の兵役免除制度です。男子選手がオリンピックでメダルを獲得すると、本来義務である約2年間の兵役が免除され、選手としてのキャリアを途絶えさせることなく活動を続けられます。
また、東南アジアや東欧の諸国では、金メダリストに対して生涯年金が支給される事例も珍しくありません。
獲得した瞬間に国から月々の手当が約束され、現役引退後の生活が一生涯保障される仕組みを整えている国もあり、選手にとってはまさに人生を懸けた戦いとなります。
対照的に、日本には公式な「メダル年金」という制度は現在まで存在しません。JOCからの報奨金はあくまで一回限りの支給であり、継続的な経済的サポートはスポンサー契約や所属企業に委ねられています。
報酬の形は各国の国情を反映しており、アスリートに求める役割や期待値の違いが色濃く表れています。
💡 海外選手のSNSを覗いてみると、国から贈られた豪華な自宅や記念の品が公開されていることがあります。

オリンピック入賞がアスリートにもたらす「形のない価値」
オリンピックで8位以内に入る「入賞」という肩書きは、競技を終えた後の人生において、金銭には代えがたい大きな資産となります。表彰台に届かなかったとしても、世界最高峰の舞台で「入賞者」として名を刻んだ事実は、その後の人生を支える強力な武器となるのです。
特に現役引退後のセカンドキャリアにおける有利さは、アスリートにとって最大の報酬と言えるかもしれません。指導者や解説者としての道が開けるだけでなく、一般企業からも「世界で戦い抜いた精神力を持つ人材」として、極めて高い評価を受ける傾向にあります。
また、知名度の向上による影響力も無視できません。入賞実績があることで、教育機関や企業からの講演依頼が絶えなくなり、自らの経験を次世代に伝える場が格段に増えます。これは、単なる有名税ではなく、一人の人間としての発言権が強化されることを意味します。
自分の言葉が社会に届きやすくなることは、社会貢献や慈善活動を行う上でも有利に働きます。こうした金銭以外の長期的なメリットこそが、過酷なトレーニングを積み重ねて世界の壁を突破した者だけに贈られる、真のギフトなのかもしれません。
💡 選手のSNSをフォローし、大会後の発信から彼らがどのような価値を社会に届けているか注目してみましょう。
