【完全版】鶏ハラミとせせりの違いを徹底解説!部位・味・調理法まで丸わかり

焼き鳥屋のメニューで「鶏ハラミ」や「せせり」という名前を目にし、どちらも美味しそうだけど、具体的な違いが分からず注文に迷った経験はありませんか?これらはどちらも鶏肉の希少部位として食通に愛されていますが、その正体は全く異なります。

この記事では、鶏ハラミとせせりの違いを、部位、味、食感、栄養、おすすめの調理法に至るまで、あらゆる角度から徹底的に解説します。それぞれの魅力を深く理解すれば、次にお店で注文する時や、スーパーでお肉を選ぶ際に、自信を持って自分の好みに合った一品を選べるようになります。焼き鳥がもっと楽しくなる知識を、ぜひ手に入れてください。

鶏ハラミとせせりの基本的な違い【一覧表で比較】

まずは、鶏ハラミとせせりの核心的な違いを一目でご理解いただくために、比較表にまとめました。この表を見るだけでも、二つの部位が全くの別物であることがお分かりいただけるでしょう。

項目 鶏ハラミ せせり
部位 腹筋(腹壁の筋肉) 首の筋肉(ネック)
分類 ホルモン(内臓肉) 正肉(筋肉)
1羽からの採取量 ごく僅か(約4~10g) 少量(約20g)
食感 コリコリ、弾力がありながら柔らかい プリプリ、弾力が強く引き締まっている
脂の量 適度 多め
味わい コクと甘みのある上品な旨味 濃厚でパワフルな旨味
別名 特になし(鶏ハラミ、腹膜など) ネック、首小肉、そろばん、きりん
おすすめ調理法 塩焼き、タレ焼き、炒め物、アヒージョ 塩焼き、唐揚げ、ネギ塩炒め、親子丼

このように、同じ「希少部位」という括りでも、その出自から味わいまで、個性は大きく異なります。ここからは、それぞれの部位についてさらに深く掘り下げていきましょう。

鶏ハラミとは?部位と特徴を詳しく解説

まずは、近年人気急上昇中の「鶏ハラミ」から解説します。牛や豚のハラミとは全く異なる、鶏ならではの魅力を持つこの部位の正体に迫ります。

鶏ハラミはどこの部位?

多くの方が「ハラミ」と聞くと、牛や豚の焼肉で人気の「横隔膜」を思い浮かべるでしょう。しかし、鶏のハラミは、横隔膜ではなく「お腹の筋肉」、つまり腹筋にあたる部位です。ももの付け根あたりに位置し、内臓を覆って保護する役割を持つ薄い筋肉の膜、それが鶏ハラミです。

内臓を支える膜と聞くと、皮や筋のような食感を想像するかもしれませんが、実際にはしっかりとした筋肉質。そのため、肉の旨味とホルモンのような独特の食感を併せ持っています。見た目は赤身肉に近いですが、農林水産省が定める食鶏取引規格においては、牛や豚のハラミと同様に「可食内臓」、つまりホルモンに分類されるという、非常に興味深い部位なのです。

鶏ハラミの味と食感の特徴

鶏ハラミの最大の魅力は、唯一無二の食感と、上品ながらも深い味わいです。

食感の特徴:
鶏ハラミの食感は、まさに「肉とホルモンの良いとこ取り」と表現するのが最もふさわしいでしょう。焼肉で人気の「ミノ」のようなコリコリとした心地よい歯ごたえがありながら、決して硬すぎることはなく、スッと噛み切れる柔らかさも兼ね備えています。この絶妙なバランスが、多くの食通を虜にしています。

味の特徴:
味わいは、非常に上品でクセがありません。適度な脂が含まれており、噛みしめるとじゅわっと広がる脂の甘みと、鶏肉本来のコク深い旨味が見事に調和しています。後味はさっぱりしており、しつこさがないため、初めて食べる方でも親しみやすい味わいです。

取れる量と希少性

鶏ハラミが「希少部位」と言われる最大の理由が、その採取量の少なさです。鶏1羽から取れる量は、わずか4gから10g程度。これは小指の先ほどの大きさしかなく、焼き鳥串1本を作るためには、実に3~4羽分の鶏ハラミが必要になります。スーパーの店頭で滅多に見かけないのは、この圧倒的な希少性のためです。もし見かけることがあれば、迷わず手に入れることをおすすめします。

せせりとは?部位と特徴を詳しく解説

次に、焼き鳥屋の定番メニューとしてもおなじみの「せせり」を解説します。その名前の由来や、力強い旨味の秘密を探っていきましょう。

せせりはどこの部位?名前の由来も

せせりは、鶏の「首の肉」です。英語で首を意味する「ネック」や、「首小肉(くびこにく)」とも呼ばれます。鶏は餌をついばんだり、周囲を警戒したりと、常に首を動かしています。そのため、首の筋肉は非常によく発達しており、引き締まっているのが特徴です。

名前の由来:
「せせり」というユニークな名前は、関西地方の方言で「骨から肉をほじり取る」ことを「せせる」と言うことに由来するとされています。その名の通り、首の骨から丁寧に肉を削ぎ落として食されていたことから、「せせり」という名が付き、今では全国的に使われるようになりました。地域によっては、その形状がそろばんの珠に似ていることから「そろばん」と呼ばれたり、「きりん」「スキミ」といった別名で呼ばれたりすることもあります。

せせりの味と食感の特徴

せせりの特徴は、筋肉質な部位ならではの弾力のある食感と、濃厚な味わいです。

食感の特徴:
常に動かしている部位だからこそ、筋肉質で身が引き締まっており、プリプリとした非常に強い弾力があります。しかし、ただ硬いわけではなく、適度な脂が筋肉の間に含まれているため、噛むと押し返すような弾力と共に、ジューシーさも感じられます。この「プリプリ感」と「ジューシーさ」の共存が、せせりならではの食感の魅力です。

味の特徴:
運動量が多い筋肉は、血行が良く旨味成分が凝縮されます。そのため、せせりの味わいは非常に濃厚。噛むほどに肉汁が溢れ出し、鶏肉のパワフルな旨味が口いっぱいに広がります。鶏もも肉よりも脂が多く、よりジューシーでコク深い味わいは、一度食べるとやみつきになること間違いありません。

取れる量と価格について

せせりも、鶏1羽から20g前後しか取れない希少な部位です。鶏ハラミよりは多いものの、もも肉やむね肉に比べれば格段に少ない量です。しかし、興味深いことに、希少部位でありながらスーパーなどでは比較的リーズナブルな価格で販売されていることがあります。これは、かつては骨から外す手間の大変さからあまり流通していなかったことや、一般の消費者への知名度が他の部位に比べてまだ低いことが理由と考えられます。まさに「知る人ぞ知る、お買い得な希少部位」と言えるでしょう。

鶏ハラミとせせりの味・食感・見た目の違いを徹底比較!

ここまで個別に解説してきましたが、改めて両者の違いを比較してみましょう。どちらを選ぶか迷った際は、その日の気分やお酒の種類に合わせて選ぶのも一興です。

  • 食感で選ぶなら
    • 鶏ハラミ:「コリコリ」としたホルモン系の独特な歯ごたえを楽しみたい時に。噛み応えがありつつも柔らかい、不思議な食感を求めるあなたへ。
    • せせり:「プリプリ」とした力強い弾力と、肉々しさを求める時に。しっかりとした噛み応えとジューシーさを満喫したいあなたへ。
  • 味わいで選ぶなら
    • 鶏ハラミ:上品なコクと脂の甘みをじっくり味わいたい時に。クセがなく、素材の味を大切にしたい方におすすめ。日本酒や白ワインと相性抜群です。
    • せせり:濃厚でパワフルな肉の旨味をガツンと味わいたい時に。ご飯のおかずや、ビール、ハイボールなどのお供にぴったりです。
  • 見た目の違い
    • 鶏ハラミ:薄いピンク色で、やや平たい形状をしています。火を通すと白っぽくなり、少し縮みます。
    • せせり:笹の葉のような細長い形で、鶏ハラミよりも赤みが強く、肉らしい見た目をしています。

鶏ハラミとせせりの栄養成分とカロリー比較

美味しさだけでなく、栄養面も気になるところ。どちらも高タンパクで栄養価の高い部位ですが、その成分には少し違いがあります。ここでは一般的な数値を基に比較してみましょう。

栄養素(100gあたり) 鶏ハラミ(推定値) せせり(皮付き)
カロリー 約190 kcal 約220 kcal
タンパク質 約17 g 約18 g
脂質 約13 g 約16 g

※数値は文部科学省「日本食品標準成分表」や市販品の栄養成分表示を参考にしていますが、個体差や調理法により変動します。

鶏ハラミ:
せせりに比べるとカロリー、脂質ともにやや控えめです。ヘルシー志向の方や、カロリーを少し抑えたいけれどもしっかりとした食感と旨味は欲しい、という方におすすめです。

せせり:
鶏肉の部位の中では、タンパク質、脂質ともに豊富な部類に入ります。筋肉の材料となるタンパク質を効率よく摂取できるため、トレーニング後や、体を大きくしたい方の栄養補給にも適しています。また、脂質に含まれる旨味成分が、濃厚な味わいを生み出しています。

どちらの部位も、私たちの体を作る上で欠かせないタンパク質を豊富に含んでいます。また、皮膚や粘膜の健康維持に役立つビタミン類も含まれており、美味しく食べながら体に必要な栄養素を補給できる、優れた食材と言えるでしょう。

鶏ハラミとせせりのおすすめ調理法

それぞれの部位が持つ個性を最大限に引き出す、おすすめの調理法をご紹介します。どちらもシンプルな味付けで十分に美味しいですが、少しのアレンジでさらに魅力が広がります。

鶏ハラミの美味しい調理法

鶏ハラミは、その独特の食感と上品な旨味を活かす調理が向いています。

下処理のコツ:
鶏ハラミには薄い膜が付いていることがあります。気になる場合は、指でつまんで丁寧に取り除くと、より食感が良くなります。

基本の塩焼き:
素材の味を最も楽しめるのが塩焼きです。フライパンを熱し、油をひかずに鶏ハラミを並べ、中火で両面を香ばしく焼き上げます。塩コショウを振るだけで、絶品の肴になります。お好みで山椒や七味唐辛子、レモンを絞っても美味しいです。

おすすめアレンジレシピ:

  • 鶏ハラミとキノコのアヒージョ:コリコリ食感のハラミは、オイル煮との相性が抜群。ニンニクと鷹の爪を効かせたオリーブオイルで、お好みのキノコと一緒に煮込めば、バゲットが止まらない一品に。
  • ピリ辛豆板醤炒め:鶏ハラミをごま油で炒め、豆板醤、醤油、みりんで味付け。長ネギやニラを加えれば、ご飯が進むスタミナ満点のおかずが完成します。
  • 鶏ハラミのタレ焼き:醤油、みりん、砂糖を合わせた甘辛いタレを絡めながら焼けば、焼き鳥屋さんのような本格的な味わいを楽しめます。

せせりの美味しい調理法

せせりは、ジューシーで濃厚な味わいを活かし、力強い味付けにも負けないのが特徴です。

下処理のコツ:
パックで売られているせせりには、稀に小さな骨が残っていることがあります。調理前に指で触って確認し、見つけたら包丁の先で丁寧に取り除きましょう。この一手間で、格段に食べやすくなります。

基本の塩焼き:
せせりは脂が多いため、焼く際に油をひく必要はありません。フライパンで焼くと、自身の脂でカリッとジューシーに仕上がります。火が通りやすいので、焼きすぎに注意し、片面を1分~1分半ほど焼き、焼き色がついたら裏返して同様に焼くのがコツです。

おすすめアレンジレシピ:

  • せせりと長ネギの柚子胡椒ポン酢:カリッと焼いたせせりと、斜め切りにした長ネギをボウルに入れ、ポン酢と柚子胡椒で和えるだけ。せせりの濃厚な脂を、ポン酢と柚子胡椒がさっぱりと引き締めてくれます。
  • 絶品せせり唐揚げ:醤油、酒、おろし生姜、おろしニンニクで下味をつけたせせりに片栗粉をまぶして揚げるだけ。プリプリでジューシーな、もも肉とは一味違う唐揚げが楽しめます。
  • ごちそう親子丼:いつもの鶏肉をせせりに変えるだけで、コクと旨味が格段にアップした、ワンランク上の親子丼が完成します。

鶏ハラミとせせりはどこで買える?購入のコツ

これらの希少部位は、どこで手に入れることができるのでしょうか。購入場所と、新鮮で美味しいものを選ぶためのポイントを解説します。

  • 焼き鳥屋・居酒屋:最も手軽に出会える場所。プロが最適な火加減で調理してくれるので、まずは専門店でその真の美味しさを味わうのがおすすめです。
  • 精肉専門店:鶏肉を専門に扱うお店や、品揃えの豊富な精肉店では、取り扱いがある可能性が高いです。店員さんに美味しい食べ方を聞いてみるのも良いでしょう。
  • スーパーマーケット:鶏ハラミは非常に稀ですが、せせりは近年取り扱いが増えてきました。鶏肉コーナーを注意深くチェックしてみましょう。特売品として並ぶこともあるので見逃せません。
  • オンラインショップ:最近では、冷凍品としてオンラインで購入することも可能です。地方の美味しい鶏肉専門店のものを取り寄せられるメリットがあります。まとめ買いにも便利です。

購入時の選び方・保存のコツ:

  • 選び方:生のものを購入する際は、肉の色が鮮やかなピンク色で、透明感とハリがあるものを選びましょう。パックの底にドリップ(赤い肉汁)がたくさん出ているものは鮮度が落ちている可能性があるので避けます。
  • 冷蔵保存:購入後はすぐに冷蔵庫へ。ドリップをキッチンペーパーで拭き取り、ラップでぴったりと包んでから保存容器に入れると、鮮度が長持ちします。1~2日中に使い切るのが理想です。
  • 冷凍保存:すぐに使わない場合は、冷凍保存が可能です。小分けにしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて空気を抜いてから冷凍庫へ。1ヶ月程度を目安に使い切りましょう。解凍する際は、冷蔵庫でゆっくり自然解凍するのが、風味を損なわないための重要なポイントです。

よくある質問Q&A

最後に、鶏ハラミとせせりに関するよくある質問にお答えします。

Q1: 鶏ハラミとせせり、初心者にはどちらがおすすめ?
A1: どちらも美味しいですが、より親しみやすいのは「せせり」かもしれません。プリプリとした食感は多くの人に好まれ、鶏もも肉に近い感覚で調理できます。一方、少し変わった食感を試してみたい方には「鶏ハラミ」が新鮮な驚きを与えてくれるでしょう。

Q2: 焼き鳥で頼むなら、タレと塩どちらがおすすめ?

A2: これは好みによりますが、一般的には素材の味を活かす「塩」がおすすめです。特に鶏ハラミは上品な味わいなので塩が合います。せせりは濃厚な旨味があるので、塩でシンプルに味わうのも、甘辛いタレでご飯と一緒に楽しむのも、どちらも絶品です。

Q3: 子供でも食べやすいですか?

A3: どちらも弾力がある部位なので、小さなお子様には少し噛み切りにくい場合があります。その際は、調理後にハサミなどで細かくカットしてあげると食べやすくなります。唐揚げや親子丼の具にするのもおすすめです。

Q4: 牛や豚のハラミとは全く違うのですか?

A4: はい、全く違う部位です。繰り返しになりますが、牛や豚のハラミが「横隔膜」であるのに対し、鶏ハラミは「腹筋」です。名前は同じですが、全くの別物と覚えておきましょう。

Q5: 硬いと感じた時の対処法はありますか?

A5: どちらの部位も焼きすぎると硬くなります。調理は短時間で済ませるのが基本です。もし硬くなってしまった場合は、細かく刻んでチャーハンの具にしたり、お酒と醤油で少し煮込んで佃煮風にしたりすると、美味しくいただけます。

まとめ

鶏ハラミとせせり、どちらも鶏一羽からわずかしか取れない、大変貴重で魅力的な部位です。最後に、その違いをもう一度おさらいしましょう。

  • 鶏ハラミ:
    • 部位:お腹の筋肉(腹筋)
    • 分類:ホルモン
    • 食感:コリコリとしながらも柔らかい独特の食感
    • 味わい:上品なコクと脂の甘み
    • キーワード:「唯一無二」「上品」「ホルモン好きにおすすめ」
  • せせり:
    • 部位:首の筋肉(ネック)
    • 分類:正肉
    • 食感:プリプリと引き締まった強い弾力
    • 味わい:濃厚でジューシーな肉の旨味
    • キーワード:「弾力」「ジューシー」「もも肉好きにおすすめ」

コリコリとした新食感を求めるなら鶏ハラミ、プリプリでジューシーな旨味を堪能したいならせせり。あなたの好みはどちらでしたか?

この記事を参考に、ぜひ両方を食べ比べてみて、自分だけのお気に入りを見つけてみてください。焼き鳥屋での注文が、そして日々の料理が、もっと奥深く楽しいものになることを願っています。

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